こんにちは。あいです。
杉樽で味噌を仕込んだので木桶というものが気になり、そんなタイミングでのイベント参加。
KDD Nihonbashiで行われた、藤井製桶所の上芝雄史氏、ヤマロク醤油の山本康夫氏、仁井田本家の仁井田穏彦氏、真樹氏によるトークイベント。
木桶仕込み、発酵の歴史、これらを未来にどう繋げていくかという内容。

仁井田本家Barも開設してるということもあり、お酒を呑みながらお話を聞くというスタイル。
木桶仕込みの文化と変還

現在国内で唯一大樽を製作している藤井製桶所は年内に廃業する。
戦後、住宅を建てるため木材が高騰し、軍事産業がストップして鉄が安くなった。酒・味噌・醤油などの使われてた木桶も次第にホーローなどに代わっていったという。
そして驚くことに、木桶は不衛生という理由で保健所から排除の方向になった時代があるという。
20年程前グルメ志向のテレビ番組があり、木桶仕込みの醤油や味噌が紹介され、この辺りから保健所がうるさく言わなくなり木桶を見直すきっかけになった。
木桶は150〜180年もつ。
現在使われてる木桶は戦前に作られたものなのがほとんどなので、今から約50年後にはすべての木樽が使えなくなる。
『自分たちの味は自分たちで守っていかなければならない。』このことに危機感を覚えた蔵人たちが藤井製桶所さんへ修行にいき木桶作りの技術継承をしている。その一社がヤマロク醤油さん。ヤマロクさんは2012年に修行に行き、現在新規事業で桶屋を始めた。そして技術を共有して木桶と木桶職人を増やすプロジェクトも開始している。
木桶仕込みの魅力
木桶が醸造に向いてる理由は、
✔︎材木は断熱性と保温性に優れているので、外気温が変わっても一定の温度を保つことができる。
✔︎表面拡大すると無数の穴が空いてるため微生物が住み着いている。その蔵元特有の生態系ができる。
そこに住み着く菌(蔵付き酵母)はその蔵だけのもの。なので蔵付き酵母の味が郷土料理の味になると言われるくらい。特に新樽で仕込んだものは旨味が強くなるそう。一度は味わってみたいけど、そんな貴重な機会は訪れるのだろうか…。
印象に残った、菌も生き物、という話。木桶と共に菌を育ていく感覚なのだろうか。
日本酒や醤油は作るものではなく菌が醸し出してできるもの。
目に見えない菌をコントロールすることはできない。
人間は菌が心地よく発酵する環境をつくること。
醤油の味比べ、そしてこれから。
ヤマロク醤油さんの醤油の2種を味比べ。醤油を味比べする機会なんてない。そして同じ蔵のの醤油でこんなに味が違うとは驚きである。

そこで提案されたのが、醤油の使い分け。
食材の素材によって醤油を変えるということ。
料理によってワインを変えるように醤油も変えるということ。
確かに、鯛のようなお刺身に濃口醤油をたっぷりつけたら鯛の味しなくなるよね…と考えるとすごく納得する。醤油を使い分けることなら、自宅で気軽に取り入れられるのが嬉しい。ちょっと特別な醤油と普段遣いの醤油を常備していこう。
ちなみにヤマロク醤油さんの、菊醤は濃〜淡の間、鶴醤は濃、に相当する。

1%しかない木桶仕込みの醤油を、世界で3%の木桶仕込みの醤油にを目指していると。これは、醤油だけではなく、日本酒・味噌も同じことなのだろう。共に木桶文化を継承して業界全体で裾野を広げていく動きがここにはある。その蔵元独自の多様性のある商品が市場に出回る時代が来る。
まとめ。
日本の伝統的な木桶仕込みの醤油や日本酒。
次の世代に残すためには自分たちで木桶を作る時代になってきたという。
ヤマロク醤油さんは自分たちで作った木桶で醤油を作り続ける。
仁井田本家さんは将来的には物を買わない蔵にしたいと。自分たちですべてのものを作れるようになりたいと。
新政さんは全量木桶仕込みにしていきたいと。
両蔵ともに地元の杉の木で木桶を作ろうとしている。
道具から地産地消って夢がある。応援したくなるストーリー。
消費者である私たちに出来ることは、和食文化を継承するために木桶仕込みのものを継承(消費)していくこと。
日本では日常品の醤油だけども海外では嗜好品。自分好みの日本酒を探すように醤油も探してみよう。
そして美味しい調味料(特に醤油)で料理をすると、料理の腕が各段に上がった感じがする。醤油などの調味料は日々の食生活を見直すキッカケのひとつだと思う。
2020/03/07

私は食をキッカケにして人生が豊かになりました。
食に関心を持つことで、いくつになっても食べる楽しさを失わない生き方を目指しています。
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